煮貝の歴史

HISTORY 煮貝とは?

海のない山梨で
なぜ鮑が特産品に?

昔から「名物にうまいもんなし」といわれますが、甲州の煮貝だけは別物で、一度これを口にするとその舌触りと風味は忘れがたい物となるのがこの「煮貝」です。

通称「にがい」と呼ばれますが、一口に言うと、あわびを醤油で煮た物ですから「煮あわび」と呼ぶのが本当です。

海のない山梨でなぜ鮑が特産品に?

煮貝の由来

その由来を調べてみれば、今から400年ほど前。

現代のような交通手段も冷蔵設備もない時代には、幾多の山谷を越えねば到達できない甲斐の国に、新鮮な海の幸を運ぶ事は容易ではありませんでした。

当時、大海原を持つ隣国の駿河(静岡県)で採れる新鮮な魚介類のうち、甲州に運ばれる物はわずかであり、そのほとんどは塩漬や干物でしたので、甲州の人々は豪華なあわびなど到底口にする事はできませんでした。

馬の背に揺られて

そこで、何とかこのあわびを生の味を生かした方法で甲州の人々に食べさせたいと、私どもの6代目と産地・伊豆下流の網元の人々で加工研究のうえ、煮貝の製法を完成し、江戸末期の頃から甲府に入ったと伝えられています。

国産あわびへのこだわり
浜で採れたあわびを醤油樽に詰め、馬の背に乗せて運んだところ、ゴットン、ゴットンと程よく揺られながら馬の体温で温められて、甲府に着く頃には醤油がよく染み、素材の味に旨味が加わり程よい味加減になったところから甲州名物になったと言われています。
駿河から馬の背に乗って運ばれる煮貝

昔ながらの味わいを

海のない山梨県の名物に「あわびの煮貝」があるということで、TVや雑誌、さまざまなメディアに取り上げていただきました。

これからも老舗として、国産のあわびにこだわり、昔ながらの手作りの製法で伝統に沿った味作りを追求していきたいと思います。

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時代とともに少しづつ変化しながら、代々引き継がれてきたみな与のパッケージデザイン

煮貝の美味しさの秘密

煮貝のうまみを
科学的に分析しました

平成20年に行われた山梨県主催の企画展「甲州食べ物紀行」の出展に際し、山梨県立博物館が当店で販売されている「あわびの煮貝」の調査を行いました。

生の貝に比べてどのようなうまみ成分の変化が起きているのかを調べるため「味の素 ライフサイエンス研究所」に依頼し、アミノ酸の成分分析を調査した結果が以下のグラフです。

煮貝のアミノ酸分析結果

煮貝のアミノ酸成分分析を調査した結果グラフ
煮貝では同じ重量あたりのアミノ酸が増加しているのがわかります。特に旨味の元であるグルタミン酸、アスパラギン酸が増加しており、醤油ベースのたれで煮込むことで、旨味が追加されるとともに、旨味の質も変化していることが明らかになりました。

乾うば貝の
アミノ酸分析結果

煮あわびほど有名ではありませんが、甲州で食される特徴的な貝加工品に北の海で採れるウバガイ(ホッキ貝)を乾燥させた乾うば貝があります。

乾うば貝のアミノ酸分析結果

国産あわびへのこだわり 乾うば貝のアミノ酸分析結果

つまみや乳幼児の歯固めに用いられる地域色の強い食物で、上記のグラフからも乾燥させることで旨味が濃縮されていることがわかります。

単なる保存加工ではなく、手を加えることによって新たな旨味を引き出す。二つの名物からは山国における海産物利用の知恵が浮かび上がりました。

生でも美味しく頂ける鮑とほっき貝ですが、さらに旨味成分の増した山梨伝統の味。みな与の煮貝と乾うば貝をぜひ一度ご賞味ください。