お店へ訪れるお客さまから「オスとメス、つがいの鮑をいただけますか?」とご注文をいただくことがございます。
若い人からすると「なんのこと?」と思われるかもしれませんが、昔から「妊婦さんがつがいのあわびを食べると目のキレイな赤ちゃんが生まれる」という言い伝えがあるのです。ですので、出産のお祝いや妊婦さんへの贈り物としてあわびの煮貝をご利用される方が多くいらっしゃいます。
あわびは昔から縁起物として利用されることの多い食材です。妊娠中の妊婦さんにオスとメスのあわびを送るのも昔からの習慣のひとつなのです。
あわびを食べると目の綺麗な赤ちゃんが生まれる
昔から「妊娠5ヶ月目の“戌の日”にあわびを食べると目が綺麗で健康的な赤ちゃんが生まれる」という言い伝えがあります。
昔からあわびの産地でもある伊勢志摩では、オス(黒あわび)とメス(白あわび)のつがいのあわびを妊婦さんが食べるという風習がありました。
これは伊勢神宮に奉納されていたあわび=神が食べるものを命を授かったお腹の赤ちゃんに栄養とし て与えるという意味もあるそうです。
また、あわびは栄養価が高いことから、出産後の妊婦さんの体力回復の滋養強壮の役目もあると言われています。
この言い伝えは伊勢志摩をはじめ、関西地域ではよく知られたお話です。
目のキレイな赤ちゃんが生まれるはただの言い伝えなのか?
昔からの風習とはいえ、あわびを食べることで目のキレイな赤ちゃんが産まれるなんてことが本当にあるのでしょうか?
近年になりあわびの成分を調べたところ、この言い伝えを裏付けるかのような研究結果が報告されています。
あわびにはタウリンという疲労回復成分が豊富に含まれているそうです。
このタウリンは目の新陳代謝を促す働きがあり、胎児の網膜形成に必要なビタミンAや亜鉛も豊富に含んでいるとか。
またあわびは栄養の宝庫であり、ビタミンB1やB2、コンドロイチン、コラーゲンなど、女性にとっては嬉しい美肌成分だったり、アミノ酸、免疫効果を高めるセレンなどの成分も豊富!
ですから「あわびを食べると目が綺麗な赤ちゃんが生まれる」という話も満更根拠のない言い伝えでもなさそうです。昔の人々の知恵とは本当にすごいものです。
あわびの肝には豊富な栄養素がたっぷり
みな与ではあわびに肝をつけたまま調理し煮貝にしております。
あわびの主食は海草です。アワビの肝は特に海草の栄養分が凝縮されている場所であり、その成分は胃潰瘍をはじめ、精力増強、美肌効果などにも効果が期待できると聞いたことがあります。
あわびは我々にとって必要な栄養素をたっぷりと含んだ栄養価の高い海産物です。そしてあわびは100年生きると考えられており、長寿のお祝いにも利用されて来た歴史があります。高い栄養価と長生きするあわび。それが昔から縁起物としてあわびが重宝されている所以なのです。