今朝、近畿地方で採れた鮑が届きました。
まだ生きている鮑です。
この鮑は日本近海で採取された黒鮑です。
みな与では一度に大量の生産ができないため、少量づつ各産地から送っていただいております。
この黒鮑を届いた直後に調理し、煮貝にするための仕込みを始めます。
黒鮑にこだわる理由
みな与の煮貝には国産の黒鮑を使用しておりますが、それには理由があります。
国産の黒鮑は身がしっかりしており、火を通した際に身が縮みすぎず、程よい歯ごたえを残し柔らかく調理できるためです。
黒鮑以外の鮑では火を通した際にギュッと身が引き締まり、その身が小さく縮んでしまいます。
また、黒鮑は他の鮑に比べ、食感、旨味が強く、煮ることで甘さが増すことで知られる鮑でもあります。この国産黒鮑がもっとも煮貝にして美味しく頂ける鮑ですから、みな与では代々黒鮑を煮貝にしてまいりました。
みな与では、この黒鮑を4キロ単位で送っていただくのですが、手作りでは多くても1日に3〜4回の仕込みが限度になります。
最高でも4回調理できるのであれば16kgの煮貝ができるかというと実はそうではありません。
殻付きの黒鮑4kgを煮貝にした場合、重さは約半分程度になりますから、4kgの殻付き黒鮑は2kgの煮貝になってしましまいます。
年々その数を減らす国産黒鮑
国産鮑漁は2月に四国から始まり、気温が上昇するにつれ範囲が広がり、10月くらいまで全国で漁が行われます。
1年の間、安定的に鮑を仕入れる為にみな与では、全国の生産者と連絡を取り、収穫量を確認しながら各地の旬な鮑を仕入れています。
しかし近年、国産天然物鮑の漁獲量は減っており、1970年代の2割程度にまでその数を減らしています。
新鮮な国産鮑ならではの柔らかい食感と肝つきが特徴であるみな与の煮貝には、国産黒鮑が不可欠です。
万が一、国産黒鮑が入手できなくなった際には、輸入物の鮑に頼るのではなくみな与ののれんを下ろす覚悟でおります。それほど、国産あわびと輸入もの鮑では美味しさに差が出てしまうものなのです。
国産鮑ならではの、やわらかく芳醇な磯の香り漂う煮貝をぜひご賞味ください。